鶴川の連窓住宅


連続する家

この計画は小さくて良いので夫婦二人で暮らす家を建てたいというクライアントと一緒に
土地を探すことからはじまりました。
敷地は崖地の一番底辺に位置しているため背後に崖を背負い、周辺は様々な大きさの住宅
が崖地に張りつくように建ち並んでいます。正面は道路越しに緑が見える環境にあるもの
の車や人通りが多く無防備に開放することには抵抗があり、外部との距離の取り方に注意
を払いました。また、多忙なクライアントからは夜ゆっくりとくつろげる住まいにしたい
という要望があり、これに応えるために落ち着きのある空間と開放的な空間の対比が感じ
られる住まいにしようと考えました。
崖の底辺に位置しているという状況と重ね合わせて敷地の一番奥に寝室を設け、寝室のあ
る1階は極力窓をなくし、床・壁・天井をラワン材で仕上げることで谷の底にいるような
落ち着いた雰囲気の空間としました。同じようにワラン材でつくられた階段室を抜けると
柱のないワンルーム空間に南面の高窓から光が降り注ぐ開放的な2階が出現します。北側
には建物の奥行方向に渡り、吹抜を設けることで南面からの光かりと北面に設けた連続窓
の明かりを1階まで導くように工夫しています。
小さな住宅だからこそ開放感が感じられるような設えをすることと合わせて住宅の内部に
シークエンスをつくり出すことで外部から連続するような内部空間となり、この空間がど
こまでも続いていくような奥行きを生み出すことを意図しました。

スライドショーには JavaScript が必要です。

■メディア掲載:アーキテクチャーフォト https://architecturephoto.net/86546/

■用  途:専用住宅
■家族構成:夫婦
■敷地面積:86.12㎡(26.05坪)
■延床面積:69.97㎡(21.17坪)
■用途地域:第一種低層住居専用地域 / 第一種高度地区
■防火地域:法22条地域
■構造規模:木造軸組工法 地上2階建て
■設計期間:9.0ケ月
■工事期間:8.0ケ月
■竣 工 年 :2019年
■設計監理:デザインライフ設計室 | 青木律典 須佐雄輝
■構造設計:ハシゴタカ建築設計事務所 | 髙見沢孝志
■施工会社:幹建設 | 内田善文 土屋隆
■建築不動産コンサルティング:創造系不動産 | 須永則明
■写  真:中村 晃

 

「一般性の希少化」  –  この住宅を通して考えたこと  –

とてもシンプルな木造2階建て住宅です。
長方形の平面に片流れの屋根が掛かっています。
シンプルは単純と言い換えることもできます。
この住宅を設計するにあたり、また工事の過程を通して、
どうすればこの単純な要素を「建築」に変換できるかを考えました。

そこで、住宅の基本的な要素である仕上げとアルミサッシという材料に着目しました。
どちらも機能があり、同時に意匠でもある建築材料です。
仕上げもアルミサッシも、ごく一般的なものですが
その取り扱い方に注力することで希少性を生み出そうと試みました。

手軽に手に入れることができ、価格も安く流通しているラワン材を使用しながら、
材料の割り付けや目地、端部の処理や取り付け方にこだわりを持ち、丁寧に扱う。
アルミサッシも同様に、もっとも一般的な引き違い窓を利用しながら
大きさを統一し、配置やその周辺との取り合いを吟味する。

このような微細なこだわりの積み重ねにより
一般的なモノを希少価値のあるものに昇華させる、
「一般性の希少化」を目指しました。

一般的な材料の力を見い出し、価値を付加すること
(材料の見極めであり、使い方の見立てであり、設計の技量であり、
職人の技術であり、実現に至らせる人間力)で
元の状態よりも希少性を高めることができる。

このことが建築家が存在する価値であり、
これからも大切な仕事として残っていくのではないかと考えています。

 

この他の注文住宅の事例はこちらをご覧ください。