練馬の改修住居

020
ウチニワのある家

木造2階建ての中古住宅のスケルトンリノベーションです。
郊外の住宅地特有の南に庭を持った既存住宅は、室内が細かく部屋に仕切られ、上下階が分断
され、決して使い勝手の良い動線ではありませんでした。
また庭はあるものの積極的に庭を使ったり、庭を鑑賞する雰囲気も感じにくいものでした。
そこで私たちは外部と内部の関係を見直し、動線をシンプルに整理し、部屋と部屋の配置を調
整し、上下階のつながりが持てるように家の中心に「ウチニワ」と呼ぶ特徴的な場所を配置す
ることを考えました。
この「ウチニワ」は部屋と部屋をつなぐ廊下であり、1階と2階をつなぐ階段のある吹き抜けで
すがその役割だけでなく、光を家の奥まで引き込み、風が通り抜け、視線が行き交う気持ちの
良い場所になります。またこの場所が起点となって部屋と部屋、1階と2階、外と内がつながる
ことや、音や声や気配は感じられながらも姿が見えないなど、程よい距離感を生み出すことで
住む人それぞれが自分に合った形で家族の新しい関係性をつくり出してくれることを期待して
います。
「ウチニワ」は室内外の環境を整え、人の状態を調整する家の核であり拠り所のような存在感
のある大切な場所になると思います。

スライドショーには JavaScript が必要です。

■用  途:専用住宅
■敷地面積:137.49㎡(41.59坪)
■延床面積:106.29㎡(32.15坪)
■用途地域:第一種低層住居専用地域/第一種高度地区
■防火地域:準防火地域
■構造規模:木造軸組工法 地上2階建て
■設計期間:8.0ケ月
■工事期間:8.0ケ月
■竣 工 年 :2019年
■事 業 主 :株式会社 リビタ | 宇都宮惇 上野智博
■設計監理:デザインライフ設計室 | 青木律典 須佐雄輝 平野博子
■構造設計:高橋建築工房 | 高橋政則 島尾香栄
■施工会社:新生建築 | 君﨑志夫
■写  真:石田 篤(IPS)

 

「動的なリノベーション」について

都心から私鉄で30分程の郊外に敷地は位置する。駅からは徒歩で15分程離れた典型的な住宅街に建
てられた中古住宅のスケルトンリノベーションである。 株式会社リビタがおこなう中古戸建住宅
の買い取り再販事業「HOWS Renovation」のひとつのプロジェクトだ。
リノベーションなので室内や外部の仕上げを変更し、間取りを変え、設備機器を更新することが一
般的には求められる。今回のプロジェクトではその一歩手前の段階に踏み込んでリノベーションを
行うことが出来ないかと考えた。
建物は一度建ってしまうと動かすことが容易ではない。物理的に配置が変わったり、向きが変わる
ということは通常では考えにくい。しかし、増築をし、玄関の位置やアプローチを変え、動線を見
直し、また内部空間の構成を改めることで、建物そのものの建ち方までも変えることが出来るので
はないかと考えたのである。
それは建物の建ち方が敷地や環境に適した状態となり、本来在るべき自然な姿に近づくのではない
かという考えでもある。
玄関の位置を変えたことで人の流れが変わり、人の流れに応じて住宅の内部には新たな核となる空
間を創出した。その結果、街と建物の関係や、その他の関係性が変わり、家の向いている方向自体
が変わるような大きな変化が生まれた。
現在の周辺状況や内部環境を観察することで街と建物、内と外、室と室、人と人などの関係性を見
直し、調整することで建物の内部をリノベーションするだけでは得ることができない大きな変化を
獲得することが出来たと思う。建ち方が変わることで周辺環境との接点や在り方をも変えることに
なり、このことが後世にも引き継ぐことができる戸建住宅のリノベーションに繋がるひとつの解法
ではないかと感じている。

この他の注文住宅の事例はこちらをご覧ください。